松崎 正門

株式会社 森林ホームプロダクツ 代表取締役社長

1943年 長野県駒ケ根市生まれ 幼少期を高遠町で過ごす。

伊那北高校・立教大学を卒業。

全日本シニアバドミントン大会において数度の優勝経験を持つ。

元・立教大学バドミントン部監督。
人を育てる田園風景
松崎 正門
 .(1998/12/3)週刊いな掲載記事から
久しぶりの帰省

 今年のお盆に伊那北高校バドミントン部のOB、OG会が伊那市で開かれ、久しぶりに帰省した。
 多くの先輩、後輩諸氏と酒を酌み交わし楽しい一時を過ごした。今でも現役の学生を指導し、親父さんと慕われている伊藤氏とは昭和36年(1961)年インターハイに出場し、全国に伊那北高校にバドミントン部ありと知らしめた仲である。
風情のある城下町

 私の出身地、高遠は今でこそ桜の名所として全国的に有名になったが、私が過ごした昭和20、30年代は城下町の風情を残した静かな町並みであった。
 高遠を中心とした東部六ケ村は結構人口も多く、商売も繁盛していたように記憶している。両親も戦後、城址公園の下の高砂町で自転車店を営み、町内にもたくさんの商店があった。
幼少の高遠が…

 私はと言えば東京の生活に馴染んで38年余り。竜宮に行った浦島太郎のようなもので、存在を知る人は近親者、友人などごくわずかであろう。
 現在の高遠の様子はほとんど理解していないが、町並みがすっかり近代的に変わったことには驚いた。諸行無常とはいうものの、私の脳裏には幼き日の高遠の姿そのままが焼きついている。三峰川の清流での水泳、猪鹿沢のきのこ採り、季節ごとにあったお祭り、夏の澄んだ青空、セミの声、蜂の子取り、雪景色、取り壊された小学校の校庭などなど。そしてともに遊んだ友の顔。淡い初恋。
美しい故郷残して

 50台半ばを過ぎた私にとって、幼き日の貴重な思い出が、メーテルリンクの童話・青い鳥なのである。
 美しい山々、田園風景の故郷あってこそ人間の豊かさや優しさが存在する気がする。戦後の日本経済優先の思考に故郷まで汚染されないことを願うのは、都会で暮らす私の身勝手な願望であろうか。


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